「あせってはいけない。だからといってのんびりともしていられない。」と、ある名優が云っていました。私達の使命は、皆さんが目標へ向かう、その一日々々、一瞬々々を充実した意義のあるもへと変えてゆく事です。

「結果を出したい」、と云う逸る気持ちは充分わかりますが、本当の大きな目標に辿り着く為には、まず「実力をつける」こと、つまりは「自信を持つ」ことが最終的には近道かもしれません。 俳優は自分が「辞めた」と云うか、命が尽きる迄、現役であり、修行です。

紀伊国屋サザンシアター 「蟻のごちそう~The Feast of the Ants」エディンバラより凱旋公演
紀伊国屋サザンシアター 「蟻のごちそう~The Feast of the Ants」エディンバラより凱旋公演

劇団夢現舎 稽古概要

一、舞台に「立つ」

「立つ」とは「存在」する事。

誰にでも出来るからこそ最も難しいのだけれど、意外と軽視されがちです。私達は「立つ」と云う行為は俳優の基本であり、生涯研鑽してゆくべきものだと考えています。「舞台でしっかりと存在感を持って立つ」そこから総てが始まります。

二、心身の開放

複雑化した人間社会を生きる上で、人はどうしても心を閉ざしがちになります。しかし、俳優はあらゆるものを受容れ、そして余すところなく放出しなければなりません。新しい自分に出会う為、様々な方法を用いて心と体の開放を目指します。

三、審美眼と演出的視点~物を見る眼

長い俳優生活を送る上で、何が良くて、何が悪いか、その基準がなければ上達はありません。稽古を通してそれを判断する事が出来る「眼」を養うと共に、大観を見渡せる演出的観点を身につけます。

専属美術・山下氏によるデッサン教室
専属美術・山下氏によるデッサン教室

四、和の所作

表現とは自分自身を最大限活かす事です。その為にも私達は「日本人である」と云う特権を使わない手はありません。和の所作を通して我々の心身に宿る潜在能力を呼起します。

金春流シテ方能楽師・山井綱雄氏によるすり足講座
金春流シテ方能楽師・山井綱雄氏によるすり足講座

五、一つじゃ、多すぎる

演劇の稽古だからと云って、演劇だけに固執しません。太極拳・居合・合気道・殺陣・茶道・気功・能・狂言・講談・禅・マット運動等を通して、演劇に必要な身体と考え方を育てます。また、実際の駅でゲリラエチュードを試みる等、現実世界に飛び出して課外レッスンも行います。

あらゆるものを融合して、貴方にしかできない世界唯一の演技を生み出して下さい。

無双神伝英信流/渋川一流柔術・森本邦生師範による居合稽古
無双神伝英信流/渋川一流柔術・森本邦生師範による居合稽古

六、演劇の基礎知識

社会人としての一般教養、並びに演劇人としての基礎知識を学びます。また、公演活動を通して、スタッフワークや制作業務を直接体験し、公演や劇団の運営のノウハウを習得します。

その他、観劇会や講演会等を随時行い見識を広めます。国内のみならず海外の演劇についても学んで頂きます。

「裁判員劇」にて中学校授業参加
「裁判員劇」にて中学校授業参加
ロンドン終演後
ロンドン終演後

七、独り稽古

俳優の術はたった数年で身に付くものではありません。些細な事を長い年月をかけて繰返し、コツコツと積重ねる事でしか習得できません。集団での稽古も大切ですが、「俳優は一人の時のみ成長する」と云う言葉にもあるように個人の時間がとても重要です。

その為にも独りでも出来る稽古の実践法のヴァリエーションを増やし、常に向上する心構えとモチベーションを確立します。

英国の演劇学校と合同ワークショップ
英国の演劇学校と合同ワークショップ

八、自立心

俳優はある意味、それぞれが個人事業主です。何事も自ら興してゆかねばならず、人任せでは成立ちません。当然、舞台の上でも、自分の主張を持ち、自分の考えで動いていかなければ、観客の心は動きません。そして更には、セルフプロヂュース力を高め、俳優としての自覚を確立する事が重要になります。私達は常に皆さんの自主性を尊重し、話合いを重ねながら稽古・運営を進めてゆくと同時に、意識改革を促し、演出家の云うがままではなく、「自分が創造するんだ!」というエネルギー溢れる俳優の育成を目指します。

九、才能

芸術家になる為には才能が必要です。これは誰もが云うことであり、紛れもない事実です。しかし、自分は才能が在るとか無いとか簡単に決してしまう事は早計です。才能というものは誰しもが持っているもので、才能が開花した人は自らの才能を発見し、それを発展させた人です。才能とは何かの優劣を決める為のボーダーラインではありません。誰しもが有している権利を見つける事だと私達は考えています。その可能性をどこまでも探って下さい。

ロンドン地元紙レヴュー
ロンドン地元紙レヴュー

十、遊び心

俳優は誰も見た事も無い新しい事をみつけてやろうと常にドキドキする開拓者であり、大きな目標に向かってワクワクし続ける冒険者なのです。

この俳優に最も必要なドキドキワクワクする「遊び心」を育み、守ってゆく事が当養成所の基本理念です。


【見学について】

昔から武芸の世界では「弟子の権利は師匠を選ぶことのみ」と云われる位、自分にあった所属場所を見つけることは極めて重要な事です。従って、当養成所では稽古見学を随時行っています。また、希望される方には個人説明会も致しますので、まずは皆さんの想いをトコトンぶつけて下さい。まずはいろいろ見て、よく熟考し、納得して長く続けられる環境を選択する事が一番大切なことではないでしょうか? 当養成所に入所する云々は別にして、私達も微力ながら、そのお力添えが出来ればと思っておりますので、見学・個人説明会をご希望の方は、遠慮なく劇団までご一報下さい。

エディンバラ演劇祭にて
エディンバラ演劇祭にて